学内テストや予備校の模試を受けて自分の偏差値は知っているけれど、自分と同じ偏差値の人がどれぐらいいるのか気になっている受験生は多いのではないでしょうか。どれくらいの勉強をすれば偏差値を10上げられるのかや、自分の学力を志望校の偏差値まで上げるために学力向上の指標にしたい受験生もいるでしょう。
ここでは、偏差値から人数の分布を算出する方法について、詳しくご紹介します。
偏差値とは

偏差値とは、50を集団の平均値として、上下の隔たりを示す数値です。平均値あたりを示す人が最も多く、上下に隔たるにつれて数が減ることが多い「正規分布」を前提としています。偏差値20や偏差値70など、非常に低い、あるいは非常に高い値になると、それだけ人数の分布が少なくなるということになります。
よく偏差値70の大学に合格するためには、テストで偏差値70あっても十分ではなく、偏差値70以上の学力が必要と言われます。これは、偏差値は、そのテストを受けた人の平均点や標準偏差を用いて算出されるためです。
少人数しか受けていないテストや学内テストで算出される偏差値は、全国模試など大規模なテストと比べると、母集団が少ない上に、学力レベルが偏っている場合があります。そのため、学内テストでの偏差値が高いからといって、偏差値が高い大学に合格するとは限らないのです。
偏差値の人数の分布を知る方法

自分の偏差値が「全体のどのあたりに位置しているのか」「どの偏差値の人がどれだけいるのか」については、ある程度ですが計算できます。以下が偏差値の正規分布のグラフです。

下記は、上記のグラフを一覧表にしたものです。
<偏差値の正規分布の一覧表>
偏差値 | 上位% | 何人に1人? |
---|---|---|
80 | 0.13% | 740.8 |
79 | 0.19% | 536.0 |
78 | 0.26% | 391.4 |
77 | 0.35% | 288.4 |
76 | 0.47% | 214.5 |
75 | 0.62% | 161.0 |
74 | 0.82% | 122.0 |
73 | 1.07% | 93.2 |
72 | 1.39% | 71.9 |
71 | 1.79% | 56.0 |
70 | 2.28% | 44.0 |
69 | 2.87% | 34.8 |
68 | 3.59% | 27.8 |
67 | 4.46% | 22.4 |
66 | 5.48% | 18.2 |
65 | 6.68% | 15.0 |
64 | 8.08% | 12.4 |
63 | 9.68% | 10.3 |
62 | 11.51% | 8.7 |
61 | 13.57% | 7.4 |
60 | 15.87% | 6.3 |
59 | 18.41% | 5.4 |
58 | 21.19% | 4.7 |
57 | 24.20% | 4.1 |
56 | 27.43% | 3.6 |
55 | 30.85% | 3.2 |
54 | 34.46% | 2.9 |
53 | 38.21% | 2.6 |
52 | 42.07% | 2.4 |
51 | 46.02% | 2.2 |
50 | 50.00% | 2.0 |
引用元サイト:私は何から出来ているのか?
引用元URL:https://komoriss.com/standard-score/
このように、偏差値50は上位50%で2人に1人が該当し、偏差値が上がるにつれて該当者数が減っていくようになっています。この場合、偏差値63であれば上位10%以内に食い込めます。偏差値74であれば、上位1%以内です。
ただし、小さいクラスの中での偏差値の場合、上位1%以内だとしても、全国的に見るとそれほど高いわけではないケースもあります。そのため、自分の学力レベルを見誤らないよう注意が必要です。ライバルを意識してクラス内での上位への食い込みを目標としている場合は、この表は良い参考になるでしょう。
自分の偏差値がわかる場合
自分の偏差値がわかる場合は、上記の表にあてはめることで、自分と同じ偏差値の人が他に何人ぐらいいるのかがわかります。同時に、何人を追い抜けば上位10%に入れるのかがわかり、目標を決めることもできるでしょう。自分の偏差値がわからない場合でも、自分で計算することができます。
計算方法は、次の項目でご紹介します。
自分の偏差値がわからない場合
偏差値は自分で算出することができます。学内テストなどは偏差値が算出されないことも多いので、計算方法を覚えておくと便利です。偏差値の求め方には、「全員の得点から正確に計算する方法」と「平均点と自分の得点だけで算出する簡易的な方法」があります。
簡易的な方法は、そのテストを受けた人の中での偏差値です。あくまでも参考程度のものと考え、志望校合格の指標にはしないように注意しましょう。また、正しい偏差値を算出する際には、テストを受けた人全員分の得点の情報が必要となりますが、そのような情報が提供されるとは限りません。平均点と自分の得点があれば算出できる簡易的な方法で算出してみるのが良いかもしれません。
偏差値の計算方法は、以下の記事で紹介しています。
「偏差値の求め方|標準偏差なしの簡単な計算式を紹介」
偏差値を算出したら、先に紹介した表にあてはめて、自分と同じ偏差値の人がどれぐらいいるのかを計算することができます。
自分と同じ偏差値の人数を計算する方法

偏差値を算出したら、自分と同じ偏差値の人数を計算しましょう。自分が、そのテストを受けた人の中でどの位置にいるのかがわかります。自分と同じぐらいの学力の人がどれだけいるのかがわかれば、勉強方法や勉強時間の計画も立てやすくなるでしょう。
自分と同じ偏差値の人数を計算する方法は次の通りです。
偏差値の割合を表で確認する
まずは自分の偏差値を表にあてはめて、その偏差値が上位%にあたるのかを確認しましょう。
例えば、500人が試験を受けて、自分の偏差値が55だった場合を想定します。500人が受験するテストといえば、学内テストや学区内テストなどでの模試があります。偏差値55を上の表にあてはめると、「上位30.85%」となります。この数字を用いて、次の項目で計算していきましょう。
試験を受けた全体の人数に該当する割合を掛ける
試験を受けた「全体の人数」と、偏差値を表にあてはめた「上位何%」の数字を掛け合わせて計算します。
500人×0.3085(上位30.85%)=154.25(154人)
このように、500人が受けたテストでは、偏差値55の人数が154人となります。500人から154人を差し引くと346人となり、偏差値55以上および55以下に分布されます。正規分布では、偏差値50に近いほど人数が多くなるため、このように偏差値55の人が全体の3分の1程度を占めているのです。
偏差値を10上げるために上げるべき順位の目安

偏差値を上げたい場合、どれだけの順位を上げる必要があるのかを確認することが大切です。それにより、どれだけ勉強量を増やせばいいのかがわかります。規模が大きいテストの偏差値が50から60に上がれば、一般的に難関校と呼ばれる学校を目指すことも可能です。また、偏差値が30で志望校合格が難しいような場合にも、段階的に偏差値を上げていくための目標を定められます。
偏差値を10上げるために上げるべき順位について、偏差値50から60へ上げる場合、偏差値60から70へ上げる場合のケースに分けてご紹介します。
偏差値50から偏差値60
偏差値50から60へ学力レベルを上げる順位の目安を見てみましょう。1,000人が試験を受けた場合、偏差値50は上位500人となります。そして、偏差値60は上位158人となるため、約342位の順位を上げる必要があります。全体の3分の1程度に相当する順位を上げる必要があるため、それだけ大きな努力が必要と言えるでしょう。
偏差値60にもなれば、難関校と呼ばれる学校の合格が現実味を帯びてきます。1,000人を対象にした試験は比較的大きな規模のため、志望校の受験本番に近い学力レベルの人が受ける種類の試験であれば、合格に向けた指標にできます。1,000人規模でも、市区町村や地域ブロックの人が受験する試験の場合は、全国の志望者が受けているわけではないので指標とするには注意が必要です。
偏差値60から偏差値70
次に偏差値60から70へ学力レベルを上げる順位の目安を見てみましょう。1,000人が試験を受けた場合、偏差値60が上位158人となります。偏差値70が上位22人となるため、偏差値60から70に上げるためには、約136位上げる必要があります。偏差値50から60に上げる場合よりも上げるべき順位が少ないですが、難易度は高まります。
偏差値が上がるほどに高得点となるため、基礎学力はもちろん、苦手科目や分野の克服をしておく必要があります。応用問題に対応できて、さらに細かなケアレスミスも起こさないような学力と集中力が求められます。偏差値が高くなるほどに、順位を上げるのが大変になることを覚えておきましょう。
まとめ
自分と同じ偏差値の人がどれだけいるのかは、紹介した表にあてはめることで簡単に計算できます。自分と同じ偏差値の受験生がどれくらいいるのかや、どれくらいの順位を上げることで自分の偏差値が上がるのかを知ることで、受験勉強の計画が立てやすくなります。
ただ漠然と偏差値に一喜一憂したり、闇雲に受験勉強の計画を立てるのではなく、より具体的に自分の偏差値や学力レベルを把握して、適切な目標を定めて日々の勉強に取り組むようにしましょう。