子どもが不登校になってしまったら?(9)不登校児をもつ保護者の皆様へ
ご自身のお子様や知人のお子様が「最近、学校に行くのを嫌がる・・・」「なんとなく心配」という状況になってしまった場合に、保護者となるご両親はきっと「どうしたらいいのか?」と悩まれると思います。
このコラムでは、少しでも皆さんの心配が和らぐことを期待して連載していきますのでご自身やお子様の状況に合う内容だけをうまくピックアップして活用していただければと思います。
少しでも、お子様だけでなく保護者となる皆様も気が楽になればと考えています。
もし、今この記事を読んでいるのが「学校に行きたくない」と思っているご本人だった場合には気楽に、「こんな時代なんだな」「こんな方法があるんだな」と知ってもらえればと思います。悩んでいるのは、実は君だけではなく全国に大勢います。そして、その大勢の為に社会は手を差し伸べれればと考えています。誰でもいいです。誰かあなたが信頼できる人に思いを伝えてください。
保護者の皆さまに知って欲しいこと
親として子どもの心配は当然の事でありたくさんの不安が付きまといます。
その中でも、不登校やひきこもりとなってしまった子どもとどう接してい良いのかわからないという相談は多くあります。
不登校やひきこもりを改善するには「個々にあった対応」が必要です。
また時期が変われば、うまく行っていたことが、うまくいかないことも出てきますし、その逆も発生します。
まずは、じっくりと子どもと向き合う事を選択してください。
ただし、いくつかポイントはあります。
それらを紹介してきたいと思います。
接し方のポイント
ここでは、いくつかのポイントを紹介してきます。
毎回お伝えしていますが、「明確な正解・不正解」はありません。
各家庭やお子様の状況に応じて接し方は様々ですので参考程度に知ってもらえればと思います。
1 不登校の原因を客観的に捉える
お友達の子どもが不登校になってしまった場合にあなたはお友達にどのようにアドバイスするでしょうか?
・学校が全てではない
・生きててくれるだけで安心ではないか
・子どもが悪いわけではない
・あなた(親)が悪いわけではない
このような返答をするのではないでしょうか?
ところが、わが子がそうなってしまった場合には、どうしても客観的に捉えることが難しくなってしまいます。
不登校の原因探しは、犯人捜しではありません。
もっと子ども達の心に触れる必要があります。
まずはしっかりと子どもの言葉に耳を傾けて行動を観察できるようにしましょう。
2 記録を取るようにしましょう
子ども、大人に関わらず人は記憶を頼りに普段過ごすことが多いです。
ところが、そこには「想像と妄想、勘違い」がたくさん入り混じっています。
なので、少し時間がたって例えばカウンセラーの先生に状況を説明する時に妄想で話をしてしまうということが良くあります。
例えば1か月の生活を振り返るここ1週間急にゲームをする時間が多くなったとします。するとゲームばかりしている・・・と思ってしまいがちですが、実は1か月単位で考えるとそれほどでもなく、それよりは本を読んでいる時間の方が長かったという事もあるかもしれません。
しかし、ついつい最近のゲームが気になってしまってカウンセラーの先生に「ゲームばかりしている」と表現したとします。
するとそれを聞いた子どもはどう思うでしょうか?
「そんなことないのに」ときっと感じるのではないでしょうか?
記録は、最初にある客観的に見るをより一層助けてくれます。
記録は日記のような感想や思いではなく、子どもの発した言葉そのものや、行動を正しく書き取りましょう。
3 一緒にできる何かを見つけましょう
コミュニケーションをとりましょうと言っても急に心の深い部分を話すことが出来るわけではありません。
しかし、子どもと対話をすることは絶対に必要です。
そこで、子どもと一緒にできる何かを見つけて、共有する時間を作ってください。
ここでのポイントは子どもがやりたいことに親が付き合うという事です。
ついつい、親目線で将来を考えて「じゃあ一緒に料理を、散歩を、趣味を」と言いがちですが子どもがやりたくない事はコミュニケーションにはなりません。単なる強制になってしまいます。
極端な話、一緒にゲームをするでもいいのです。
共通の話題を作ってください。
4 子どもの居場所・役目を作りましょう
学校にいれば、なんとなくクラスの中での位置づけというものは子ども達の中に出来てきます。
そして、そこに所属しているという意識が強まり社会性が身に付きます。
その最小単位が家庭です。
どんなことでも構いません。子どもに役割を与えてください。
ここでのポイントは、子どもだけに役割を与えるのではなくて、学校で委員会を決めるようにメンバーにあたる家族みんなで役割をそれぞれにつけることです。
自分だけではなく、家族も役目を持っている中で自身の役割の価値を見えるようにしてあげることが居場所として明確に認識できるようになります。
そして、出来たことは家族みんなで互いに褒めて認めることを積み重ねて欲しいと思います。
5 誰のせいでもないことを家族の中で認識してください
言いづらいことではありますが、不登校や発達障害を抱えているお子さんの家庭環境として両親が離婚をしているケースが多く見受けられます。
恐らく、子どもに対する感情や行動において夫婦間ですれ違いや不一致が起きているケースが多いのではないかと推測します。
その時に、互いに口にしてしまうのが
「あなたのせいで・・・」
「もっと子どもに関わってくれないと・・・」
「忙しいのだから・・・
などではないでしょうか?
そのように思ってしまったことが一時的であったとしても、もう家族として両親も限界が来ているのです。
そう言ってしまったご家族を第三者が責めることはできません。このご家族にも支援が必要な状態です。
しかし、これを聞いてしまった子どもはどのように感じるのでしょうか。
例えば、お母さんのせい、お父さんのせいと考えるでしょうか?
きっと「自分のせいで、二人が喧嘩をしている」と考えるのではないでしょうか?
ここで、全員が自分が至らない、悪いという発想へと進んでいく可能性があるのです。
不登校やひきこもりは犯人捜しは必要ありません。
「誰か」のせいではないという事を最初に心にとめて欲しいと思っています。
6 やってはいけない事に囚われない
子どもが不登校になってしまった場合、親は「親がしてはいけないことは何か」を知りたくなってしまいます。
多くのサイトでも「してはいけないこと」として紹介しています。
参考にしても問題ないと思いますし、知ることは大切だと思います。
ところが、そこに気が取られて子どもに遠慮をする親が出てきます。
それでは親子でコミュニケーションを取るどころか壁が出来上がってしまいます。
子どもは親に気を使われているなど敏感に察知します。
そのような態度をとる人と接することは子どもでなくともイライラするはずです。
「するべきでない」「してはいけない」は非常に厳しく制約をする言葉です。
子どもと対応するときに親がそのような制約に縛られているとうまく行かなくなる可能性が高いので知識程度におさめておくことをお勧めします。
まとめ
今回は、保護者の皆さまに子どもと接する時に知っておいてもらえればと思う内容をまとめました。今までの書いてきているコラムと合わせて読んでもらえると、なぜそのようにお勧めするのかもわかりやすくなると思います。
「自分だけで」「家族だけで」苦しむ問題ではありません。多くの機関があなたに手を差し伸べていますのでその手を取る勇気を持っていただければ幸いです。
エイドネットスタッフ一同