子どもが不登校になってしまったら?(3)不登校児と発達障害

ご自身のお子様や知人のお子様が「最近、学校に行くのを嫌がる・・・」「なんとなく心配」という状況になってしまった場合に、保護者となるご両親はきっと「どうしたらいいのか?」と悩まれると思います。

このコラムでは、少しでも皆さんの心配が和らぐことを期待して連載していきますのでご自身やお子様の状況に合う内容だけをうまくピックアップして活用していただければと思います。

少しでも、お子様だけでなく保護者となる皆様も気が楽になればと考えています。

もし、今この記事を読んでいるのが「学校に行きたくない」と思っているご本人だった場合には気楽に、「こんな時代なんだな」「こんな方法があるんだな」と知ってもらえればと思います。悩んでいるのは、実は君だけではなく全国に大勢います。そして、その大勢の為に社会は手を差し伸べれればと考えています。誰でもいいです。誰かあなたが信頼できる人に思いを伝えてください。

不登校と発達障碍

近年、不登校児の中には発達障害の子ども達の割合の多さが指摘され始めています。

不登校児の割合は下記リンクを参照
子どもが不登校になってしまったら?(1)不登校児の現状

平成29年に総務省が発表している「発達障害者支援に関する行政評価・監視」では
発達障害者の不登校児の調査も行って発表しています。



発達障碍とは?

発達障害については近年日本でも認知されてきました。
統計としては米国を中心とした海外の方が現段階では豊富です。

ただ、割合としては世界的にほぼ同一と認識されていますので海外の割合の数字は参考になると思います。

【発達障碍】

先天的な症状であり、経験により多動性が軽減されていくなどの変化を除いては基本的に加齢によって診断に変化がでることは少ないと考えられています。

文科省は、「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(平成24年)というものを紹介しています。

そこでは、通常学級中に「発達が気になる児童」の割合は約6.5%としています。
通常学級が35名平均としてクラスに1~2名が対象となっています。

どんな傾向がみられるのか?

〇学習面で著しい困難・・・4.5%
〇行動面で著しい困難・・・3.6%
〇学習面・行動面の両方で著しい困難・・・1.6%

発達障碍の代表的な症状について

発達障碍の中でも様々な症状があります。当然、症状が違えば接し方も変わってきます。どのように接するべきかは個々で異なりますが、どのような症状がみられるのかは知識として知っていることはマイナスにはなりません。

ここでは、代表的な症状を紹介します。


ASD(自閉スペクトラム症)

ASDは100人に1人の割合でいると言われています。(厚生労働省)
特に男性に多く女性の4倍の頻度で発生すると言われています。

自閉スペクトラム症の診断については、DSM-5に記述されており、下記などの条件が満たされたときに診断されます。

1・複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
2・行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ など)
3・発達早期から1,2の症状が存在していること
4・発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5・これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと


ADHD(注意欠如・多動症)

学齢期の小児の3-7%程度存在すると考えられており、下記などの条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。

1・「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
2・症状のいくつかが12歳以前より認められること
3・2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
4・発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5・その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと


3)LD(限局性学習症・学習障害)

通常学級に在籍する児童生徒のうち、LDの割合としては担任教師が回答した割合から考察すると4.5%に近いと言われています。

学習障害(限局性学習症、LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、特異的な発達障害のひとつです。的確な診断・検査が必要で、一人ひとりの認知の特性に応じた対応法が求められます。
特に、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などを一緒に伴う場合には、それらを考慮した配慮、学習支援も必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が欠かせません。


これら、全ての症状に言えることですが決して子ども達はさぼっているわけではありません。
努力していないわけでもありません。

そこをしっかり理解して接していかないと、本人の自信喪失や自己確立に大きな影響を与えます。
不登校の要因に関しては先のコラムで紹介していますが、「無気力・不安」が圧倒的に高い割合を占めています。そのことを考えても、発達障碍が何かしらの形で関わっている可能性は考慮してもいいかもしれません。

 

まとめ

今回は、発達障碍に関して簡単に紹介しています。発達障碍に関してはやはり、学校や地域にある機関がサポートの充実に力を入れています。
不登校と合わせて発達障碍の相談に乗ってくれる機関も多くなってきていますので、気になることがあったら不登校支援のサポートだけではなく別のアプローチとして頼ってみるのも一つの手です。

「自分だけで」「家族だけで」苦しむ問題ではありません。多くの機関があなたに手を差し伸べていますのでその手を取る勇気を持っていただければ幸いです。

エイドネットスタッフ一同

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