子どもが不登校になってしまったら?(4)不登校児と学校

ご自身のお子様や知人のお子様が「最近、学校に行くのを嫌がる・・・」「なんとなく心配」という状況になってしまった場合に、保護者となるご両親はきっと「どうしたらいいのか?」と悩まれると思います。

このコラムでは、少しでも皆さんの心配が和らぐことを期待して連載していきますのでご自身やお子様の状況に合う内容だけをうまくピックアップして活用していただければと思います。

少しでも、お子様だけでなく保護者となる皆様も気が楽になればと考えています。

もし、今この記事を読んでいるのが「学校に行きたくない」と思っているご本人だった場合には気楽に、「こんな時代なんだな」「こんな方法があるんだな」と知ってもらえればと思います。悩んでいるのは、実は君だけではなく全国に大勢います。そして、その大勢の為に社会は手を差し伸べれればと考えています。誰でもいいです。誰かあなたが信頼できる人に思いを伝えてください。

不登校児と学校

近年、不登校児に関しては文科省が学校での対応に対して明確に下記の内容で指導をしています。

1.不登校とならないための魅力ある学校づくり
2.不登校児童生徒に対するきめ細かく柔軟な対応
詳細(文科省のページ)

 

特に柔軟な対応という点に関しては、保護者の皆さまにとって気になる項目ではないかと考えます。

どんな対応があるの?

実際に、どのような対応をしているのかは下記の4項目が明示されています。

■教育支援センター(適応指導教室)の整備
■スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)
■出席扱いについての処置
■中卒認定試験における受験資格の拡大及び高校入試における配慮

学校内でのサポートにより、不登校児は約22%が復帰をしているというデータが出ていることを考えると、積極的に相談することは大切な選択肢の一つです。

データは下記のコラムを参照
子どもが不登校になってしまったら?(1)不登校児の現状

具体的な対応

上記に紹介した4点をもう少し詳しく詳細見ていきたいと思います。
学校によっては、対応できるケースと外部を紹介されるケースなど様々です。あくまでも参考にして、まずは実際に相談をしてみることをお勧めします。

 


教育支援センター(適応指導教室)の整備

教育支援センターとは、文科省が下記のように定めています。

◆ 不登校児童生徒等に対する指導を行うために教育委員会及び首長部局(以下「教育委員会等」)が、教育センター等学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での指導、教科指導等を組織的、計画的に行う組織として設置したものをいう。なお、教育相談室のように単に相談を行うだけの施設は含まない。

令和元年の段階で69%の自治体で設置されています。また、多くが教育委員会の下で活動をしています。

活動の目的

◇援助目標として学校復帰を重要と考えている施設が最も多く、約69%。

◇平成27年の調査と比較すると「社会的自立」や「居場所の提供」を重要と考えている施設の割合が増えている。(下記がアンケート詳細、複数回答あり:文科省調査より)

ア社会的自立 41.9%
イ協調性・社会性の獲得 19.7%
ウ学校復帰 68.7%
エ自主性・自発性の育成 9.3%
オ対人関係の改善 21.7%
カ生活習慣の獲得 21.3%
キ自信・自尊感情を持たせる 43.9%
ク学力面の保障 20.8%
ケ居場所の提供 52.7.%

多くの施設が、個別での学習支援をしており集団支援をしているところは少ないことからも対人関係などの問題が見られたときにの相談先として候補に挙がってくると思います。

まずは、学校を通してで構わないと思いますので相談をしてみてください。


スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)

不登校児童生徒の早期発見・早期対応をはじめ、より一層きめ細かな支援を行うため、教員や指導員の研修、家庭への訪問指導など、不登校対策に関する中核的機能(スクーリング・サポート・センター)を充実し、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムを整備するものとしています。

地域ネットワークの要として下記のような民間とも繋がりをもちサポート支援しています。
・ 青少年教育施設
・ 家庭児童相談室
・ 児童委員
・ 医師
・ 保健所
・ 少年補導センター
・ NPO、ボランティア

この機関では、不登校児や家庭へのサポートだけでなく学校へのサポートも担います。
学校に話をすることに抵抗がある場合などにこのようなセンターを利用してサポート体制を作っていくことが可能になります。


出席扱いについての処置

文科省は、

不登校児童生徒の中には,学校外の施設において相談・指導を受け,社会的な自立に向け懸命の努力を続けている者もおり,このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たす場合に,これらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。

と明記しています。
つまり、学校に行けないからといって進級や進学をあきらめる必要はありません。

要件は以下となっています。

【出席扱い等の要件】
(1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

(2)当該施設は,教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関とするが,公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は,民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。
ただし,民間施設における相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であるかどうかについては,校長が,設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。このため,学校及び教育委員会においては,「民間施設についてのガイドライン」を参考として,上記判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましいこと。

(3)当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。

(4)学校外の公的機関や民間施設における学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合には,当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり,また,評価の結果を通知表その他の方法により,児童生徒や保護者,当該施設に積極的に伝えたりすることは,児童生徒の学習意欲に応え,自立を支援する上で意義が大きいこと。
なお,評価の指導要録への記載については,必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるのではないが,児童生徒のおかれている多様な学習環境を踏まえ,その学習状況を文章記述するなど,次年度以降の児童生徒の指導の改善に生かすという観点に立った適切な記載に努めることが求められるものであること。

学校との連携が重要

上記を見ても、学校としっかりと連絡を取っている必要があることは見て取れます。
この学校との連携については利用する民間の施設が変わりに行ってくれたりとサポート体制も整っていることが多いです。
まずは相談をすることが重要になります。

合わせて、ICTツールの普及によりインターネットを利用しての学習方法も増えてきました。
文科省は「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」という指針を出し、家に引きこもりがちな不登校生徒でも出席扱いにできるという対応もしています。


中卒認定試験における受験資格の拡大及び高校入試における配慮

中学校卒業程度認定試験(中卒認定)とは

学校教育法第十八条の規定により、病気などやむを得ない事由によって保護者が義務教育諸学校に就学させる義務を猶予又は免除された子等に対して、高等学校入学に関し、中学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するために国が行う試験であり、合格した者には高等学校の入学資格が与えられるものです。

試験科目は、中学校の国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の5教科です。

試験の内容は、いずれの科目も、これらを現在の中学校で履修した場合と同程度ですので、教科書などを参考に準備は必要となります。

出席日数の問題など、まずは学校と相談となりますが条件を満たしていれば高校受験は中学へ登校が出来ていなくてもチャンスがあるという事です。

まとめ

今回は、学校や行政が行ってくれているサポートについて紹介をしました。

こどもの様子を見ながら学校と情報共有をすることは、こども次のステップへの準備になります。何も対応をしないでいると、学校へ戻りたいこども達のチャンスをつぶすことにもなりかねません。

まずは、しっかりと学校がどのような対応をする準備があるのかを確認しましょう。

「自分だけで」「家族だけで」苦しむ問題ではありません。多くの機関があなたに手を差し伸べていますのでその手を取る勇気を持っていただければ幸いです。

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