子どもが不登校になってしまったら?(6)不登校児と生きる力
ご自身のお子様や知人のお子様が「最近、学校に行くのを嫌がる・・・」「なんとなく心配」という状況になってしまった場合に、保護者となるご両親はきっと「どうしたらいいのか?」と悩まれると思います。
このコラムでは、少しでも皆さんの心配が和らぐことを期待して連載していきますのでご自身やお子様の状況に合う内容だけをうまくピックアップして活用していただければと思います。
少しでも、お子様だけでなく保護者となる皆様も気が楽になればと考えています。
もし、今この記事を読んでいるのが「学校に行きたくない」と思っているご本人だった場合には気楽に、「こんな時代なんだな」「こんな方法があるんだな」と知ってもらえればと思います。悩んでいるのは、実は君だけではなく全国に大勢います。そして、その大勢の為に社会は手を差し伸べれればと考えています。誰でもいいです。誰かあなたが信頼できる人に思いを伝えてください。
生きる力
文科省は学校教育における「生きる力」を下記のように表現しています。
これからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力など自己教育力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を、[生きる力]と称することとし、知、徳、体、これらをバランスよく育んでいくことが重要
つまり
知・・・確かな学力
徳・・・豊かな心
体・・・健やかな体
としています
では、生きる力は学校でしか育むことができないのでしょうか?
家庭内で育む知・徳・体
不登校児における自宅での生活の中で「生きる力」を育むとはどういったことでしょうか。
様々なアプローチがあると思いますが、参考までにそれぞれを紹介していきたいと思います。
知・・・確かな学力
「確かな学力」という言葉は不登校児にとって随分とハードルが高い目標のように感じます。
もう少し、具体的に「確かな学力」を見ていくと下記の様に説明されています(指導要領主旨)
~~~~
〇学力の重要な3つの要素を育成します
・基本的な知識・技術をしっかりと身に付けます
・知識・技術を活用し、自ら考え、判断し、表現する力をはぐくみます
・学習に取り組み意欲を養います
~~~~
つまり、学力といわれると学校成績などにあらわれる点数を基準に考えてしまいそうですが本当は、そこに到達するまでの過程や行動・意欲にも注目しています。
家庭内でこの「知」を意識する時に、こどもが何を考え答えを導くのか、といういった様子から大人が適格にアドバイスする事で前に進むことは十分でき、生きる力を家庭内ではぐくむことは可能だと考えます。
徳・・・豊かな心
「豊かな心」とはどのような心でしょうか?
文科省は
「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性」をもつとしています。
さて、不登校になってしまった子どもの大前提で知って欲しいことがあります。
彼らは、豊かな心を持ち、他者との関わりを繊細にとらえるからこそ心への負担が大きくなりすぎてしんどくなっているケースが多いという事です。
つまり、不登校になってしまった子ども達はけっして協調できないのではなく、協調しようとしてそのタイミングではうまくできなかっただけということも可能性としては高いのです。
まずは、一番身近にいる親や学校の先生がそれを認めてあげることから次のステップに進むことができると考えます。
不登校児に関しては、この問題を解決しようとしているだけで十分に豊かな心を育んでいる最中だと捉えることが可能です。
今のお子さんの状況をしっかりと見てあげてください。そして互いに心を通わせること、それが豊かな心を育むことになります。
体・・・健やかな体
子どもにとっての健やかな体は、よく食べ、よく寝て、そして運動をすることではないでしょうか。
親は食べて・寝ることは当然と捉えていますのですぐに「運動」に目がいくかもしれません。
しかし、本当に必要なことは
朝家族と同じ時間に起きて、しっかりと食事をとり、そして家族とのコミュニケーションをもちつつ、夜になったら寝るというまずは生活リズムを整える事こそが健やかな体をつくると考えます。
生活リズムができてから、自宅で筋トレ10分でも十分な運動です。
特別なことをするよりも出来る当たり前の事を少しずつ完成させていくことに「生きる力」は隠されています。
生きる力を養う為には家族で一緒に
生きるちからは個々で育んでいくことは難しいこともあります。
しかし、学校でしか育むことができないということはありません。
むしろ、学校では中々機会がない、衣食住に関する知識や力は家庭内でこそ培われていきます。
「数学のテストが100点でもお米の炊き方を知らない」
「スポーツが得意で大会に出るほどの選手でも洗濯機の使い方を知らないし、ユニフォームを自分で洗ったこともない」
というような子ども達は意外と多いです。
本当に生きる力が育まれているのでしょうか?
不登校であったとしても「生きる力」を身に付けることはできます。
しっかりと意識をした生活を親子で構築して欲しいと思います。
まとめ
今回は、生きる力について触れました。学校教育に掲げられている「生きる力」は実は学校内だけでは、なかなか育むことはできません。もともと家庭でもアプローチしていくことで大きな効果がみられる場合も多いのです。
そういった意味では、今ある家庭内の環境でも少しずつ「生きる力」を養う為にアプローチすることはできます。
ご家族で取り組むことを考えてみていただければと思います。
「自分だけで」「家族だけで」苦しむ問題ではありません。多くの機関があなたに手を差し伸べていますのでその手を取る勇気を持っていただければ幸いです。
エイドネットスタッフ一同